月経痛やPMS(月経前症候群)、更年期障害は、多くの女性が経験する身近な悩みです。
「毎月だから仕方ない」「年齢のせいだから我慢するしかない」と思っている方も少なくありません。しかし近年では、薬だけでなく生活習慣やセルフケア、さらにはスマートフォンアプリなどを活用した新しいサポート方法が注目されています。
今回の講演では、こうした薬を使わない治療(非薬物療法)について、3年間にわたる研究プロジェクトの成果が紹介されました。
女性の健康問題は社会全体の課題に
現在では多くの女性が仕事を続けながら、月経や更年期によるさまざまな症状と向き合っています。
月経痛やPMS、更年期症状は仕事の集中力や生産性を低下させたり、重症の場合には休職や離職につながることもあります。
経済産業省の試算では、月経に伴う症状による経済損失は約6,000億円、更年期症状による損失は約1.9兆円とも報告されています。
一方で、更年期症状を抱えていても医療機関を受診する人は約10人に1人とされ、多くの方が自己流で対処したり、我慢しているのが現状です。
薬だけが治療ではない
今回の研究では、月経困難症・PMS・更年期障害に対して、薬以外の方法で症状を改善できるかを国内外の研究から詳しく調査しました。
検討されたのは、
・生活習慣の改善
・運動やヨガ
・アロマテラピー
・鍼灸や指圧
・サプリメント
・スマートフォンアプリやオンラインサービス(フェムテック)
など幅広いセルフケアです。
月経痛には運動や温めるケアも有効
月経痛に対しては、適度な運動やヨガ、温熱療法、指圧、アロマテラピー、鍼灸などで症状が軽くなる可能性が報告されています。
また、ビタミンDやオメガ3脂肪酸(魚油由来の成分)などのサプリメントも一定の効果が期待されています。
さらに最近では、ストレッチやセルフケアをサポートするアプリを3か月使用することで、月経痛が改善したという研究も報告されています。
PMSには心のケアも大切
PMSでは、身体症状だけでなくイライラや気分の落ち込みなど精神的な症状に悩まされる方も多くいます。
今回の研究では、
- 運動やヨガ
- アロマテラピー
- 鍼灸
- 認知行動療法(物事の考え方やストレスへの向き合い方を学ぶ心理療法)
などが症状改善に役立つ可能性が示されました。
また、ビタミンB6、ビタミンD、カルシウム、チェストベリーなどのサプリメントにも一定の効果が報告されています。
近年は、スマートフォンを利用した認知行動療法やマインドフルネス(心を落ち着かせるトレーニング)も普及しており、自宅で気軽に取り組める方法として期待されています。
更年期症状にもセルフケアが役立つ
更年期障害に対しても、運動やヨガ、マインドフルネス、アロマテラピー、鍼治療などが症状改善に役立つ可能性があります。
さらに、大豆イソフラボンやエクオール、ブラックコホシュなどの植物由来成分、ビタミン類、一部のプラセンタ製剤などについても一定の有効性が報告されています。
もちろん、症状が強い場合にはホルモン補充療法など医学的治療が必要になることもありますが、セルフケアを組み合わせることで、より快適に過ごせる可能性があります。
フェムテックが女性の健康を支える時代へ
今回の研究で特に注目されたのが、「フェムテック」と呼ばれる女性の健康を支えるデジタル技術です。
症状を記録するアプリだけでなく、
- セルフケアの方法を教えてくれる
- 運動を習慣化できる
- オンラインで専門家の指導が受けられる
- 心理療法やマインドフルネスを自宅で実践できる
といったサービスが次々と登場しています。
研究では、こうしたデジタルツールを単独で使うよりも、ヨガや指圧、認知行動療法などの従来のセルフケアと組み合わせることで、より高い効果が期待できることが示されました。
まとめ
月経痛やPMS、更年期障害は、「我慢するしかない症状」ではありません。
薬による治療はもちろん重要ですが、運動や生活習慣の見直し、ヨガやアロマテラピー、心理療法、そしてスマートフォンアプリなどを上手に組み合わせることで、症状を和らげられる可能性があります。
今回紹介された研究成果は、今後の女性医療やフェムテックの発展につながる重要な内容でした。
「つらいけれど病院に行くほどではない」と悩んでいる方こそ、一人で抱え込まず、自分に合ったセルフケアや医療機関での相談を取り入れてみてはいかがでしょうか。
