
「最近、頭が重い感じがする」
「夕方になると目が疲れる」
「肩こりや頭痛がなかなか改善しない」
このような症状があると、「肩こりかな?」「疲れがたまっているだけかな?」と思われる方も多いですが、実は「眼瞼下垂(がんけんかすい)」が原因となっている場合があります。
また、このような方におでこのしわ改善目的でボトックス治療を行うと、かえって目が開けづらくなってしまうことがあります。
今回は、眼瞼下垂のメカニズムと、ボトックス治療を行う際に注意が必要な理由についてご説明します。
◎眼瞼下垂とは?
眼瞼下垂とは、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋やミュラー筋)の働きが弱くなり、上まぶたが十分に開かなくなる状態です。
原因としては
・加齢
・コンタクトレンズの長期使用
・目をこする習慣
・生まれつき
・手術後の影響
など様々ですが、年齢とともに徐々に進行するケースが多くみられます。
◎なぜ「頭が重い」と感じるの?
眼瞼下垂になると、目を開ける力が不足します。
すると身体は無意識に不足した力を補おうとします。
その際に活躍するのが「おでこの筋肉(前頭筋)」です。
本来、前頭筋は眉毛を持ち上げる筋肉ですが、眼瞼下垂の方では眉毛ごと持ち上げることで、なんとか視界を確保しようとします。
つまり、目を開ける代わりに、おでこの筋肉を一日中使い続けている状態になっています。
その結果、
- おでこがいつも張っている
- 頭が重たい
- 慢性的な肩こり
- 緊張型頭痛
- 夕方になると疲れやすい
といった症状につながることがあります。
「頭痛の原因が実は眼瞼下垂だった」というケースも珍しくありません。
◎おでこのしわが深い人ほど要注意
眼瞼下垂の方では、おでこに横じわが深く刻まれていることがよくあります。
これは年齢だけが原因ではなく、
目を開けるために毎日何千回も前頭筋を使っている証拠
でもあります。
そのため、「おでこのしわが気になるからボトックスを打ちたい」と来院される患者さんの中には、実は眼瞼下垂が隠れていることがあります。
◎ボトックスを打つと目が開けにくくなることがある理由
ボトックスは筋肉の働きを弱める薬です。
おでこのしわ改善では、前頭筋の動きを適度に弱めることでしわを改善します。
しかし、眼瞼下垂の方では、この前頭筋が目を開けることを助ける大切な役割を担っています。
そこへボトックスを注射すると、
「しわは改善したけれど、目が開けにくい」
「まぶたが重くなった」
「視界が狭くなった」
という状態になってしまうことがあります。
つまり、患者さん自身が気づいていなかった眼瞼下垂が、ボトックスによって表面化してしまうのです。
もちろん、眼瞼下垂があるからといって、必ずボトックスができないわけではありません。
軽度であれば注射する部位や量を工夫することで、安全に治療できるケースもあります。
一方で、
- 眉毛を常に持ち上げている
- おでこのしわが強い
- まぶたが黒目にかかっている
- 額に力を入れないと目が開けにくい
このような方では、ボトックスによって症状が悪化する可能性があります。
そのため、診察では単に「しわを見る」のではなく、「なぜそのしわができているのか」まで評価することが非常に重要です。
◎まとめ
美容医療では、「患者さんの希望通りに施術を行うこと」だけが良い治療ではありません。
おでこのしわが気になる方でも、その原因が眼瞼下垂にある場合には、ボトックスではなく眼瞼下垂手術をご提案した方が、根本的な改善につながることもあります。
当院では、しわだけを見るのではなく、まぶたの開き方や眉毛の位置、おでこの筋肉の使い方まで診察した上で、一人ひとりに適した治療をご提案しています。
「おでこのしわが気になる」「最近頭が重い」「目が開けづらい気がする」と感じる方は、お気軽にご相談ください。
適切な診断が、より安全で満足度の高い治療につながります。
統括部長 牧野莉央
