「以前より疲れやすくなった」
「筋力が落ちた気がする」
「やる気が出ない」
「お腹が出てきた」
「性欲や勃起力が低下した」
このような変化を年齢のせいだと思っていませんか?
実はこれらの症状の背景には、男性ホルモン(テストステロン)の低下や加齢に伴う身体機能の変化が関係している場合があります。
近年では「男性更年期(LOH症候群)」への関心が高まっており、健康寿命を延ばすための予防医療やアンチエイジング医学が注目されています。
今回は、男性更年期、ED(勃起障害)、サプリメント、漢方治療などについて最新の知見をもとに解説します。
〇健康寿命と平均寿命の差が大きな課題
日本人男性の平均寿命は約81歳ですが、健康寿命は約72歳とされています。
つまり約8~9年間は、何らかの健康問題を抱えながら生活している可能性があります。
これからの医療では「長生きすること」だけでなく、元気に活動できる期間(健康寿命)をいかに延ばすかが重要なテーマとなっています。
〇老化の原因として注目される「酸化ストレス」
私たちの体は加齢とともに老化していきますが、その大きな要因の一つが「酸化ストレス」です。
過剰な活性酸素は、
- DNAの損傷
- 細胞膜の劣化
- タンパク質の変性
- ミトコンドリア機能低下
を引き起こし、老化を加速させると考えられています。
そのため近年では、
- コエンザイムQ10(CoQ10)
- ビタミンC
- ビタミンE
- レスベラトロール
- アスタキサンチン
- αリポ酸
などの抗酸化成分が注目されています。
〇コエンザイムQ10とビタミンDの重要性
CoQ10は細胞内のミトコンドリアでエネルギーを作るために欠かせない成分です。
しかし体内での産生量は加齢とともに減少します。
研究では、CoQ10補充によって心機能の改善や健康指標の改善が報告されています。
また、ビタミンD不足も中高年男性で非常に多く、約7割が不足しているという報告もあります。
ビタミンDは骨だけでなく、
- 免疫機能
- 筋力維持
- ホルモンバランス
にも関与しているため、不足している場合は補充を検討する価値があります。
〇男性更年期の原因となるテストステロン低下
男性ホルモンであるテストステロンは20歳頃をピークに徐々に減少します。
テストステロンが低下すると、
- 疲れやすい
- 気分が落ち込む
- 集中力低下
- 筋力低下
- 肥満
- 性欲低下
- ED
などの症状が現れます。
さらに研究では、
- 転倒リスク増加
- 骨粗鬆症
- 動脈硬化進行
- 心血管疾患増加
- 死亡リスク上昇
との関連も報告されています。
つまりテストステロンは単なる「男性らしさ」だけでなく、健康寿命そのものに関わる重要なホルモンなのです。
〇男性更年期の治療
症状が強くテストステロン低下が確認された場合には、
- テストステロン注射
- テストステロンジェル
などの補充療法が行われます。
研究では、
- 筋力向上
- 握力改善
- 歩行能力向上
- 骨密度改善
- 体脂肪減少
などが報告されています。
一方で治療適応の判断には専門的な評価が必要であり、自己判断で行うべきではありません。
〇EDは全身の健康状態を映すサイン
ED(勃起障害)は加齢だけでなく、
- 動脈硬化
- 糖尿病
- 高血圧
- 肥満
- 男性更年期
などとも密接に関係しています。
現在の第一選択治療は、
- バイアグラ
- シアリス
- レビトラ系薬剤
などのPDE5阻害薬です。
これらは血管を拡張し、陰茎への血流を改善することで勃起をサポートします。
EDは「年齢だから仕方ない」と考えられがちですが、全身の血管状態を反映する重要なサインでもあります。
〇NMNとレスベラトロールは本当に若返りに効果がある?
近年アンチエイジング分野で特に注目されているのが、
- NMN
- レスベラトロール
です。
レスベラトロールは赤ワインやブドウの皮などに含まれるポリフェノールで、「サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)」を活性化する可能性が報告されています。
一方NMNは体内でNAD+という重要な物質に変換され、サーチュインの働きを助けます。
研究では、
- インスリン感受性改善
- 骨密度改善
- 慢性炎症の抑制
などの可能性が示されています。
さらに動物実験ではNMNとレスベラトロールの併用によって寿命延長効果が示唆されていますが、人における長期的な有効性については今後さらなる研究が必要です。
〇漢方による男性更年期・フレイル対策
近年では漢方を活用した男性更年期やフレイル対策も注目されています。
代表的な処方には、
・補中益気湯
疲労感、体力低下、食欲不振に使用
・柴胡加竜骨牡蛎湯
不安感、イライラ、不眠など精神神経症状に使用
・牛車腎気丸
頻尿、足腰の冷え、腰痛に使用
・六君子湯
食欲不振や胃腸機能低下に使用
・半夏厚朴湯
のどの違和感、嚥下障害、不安感に使用
漢方は体全体のバランスを整えることを目的としており、高齢者の複数の症状に同時に対応できる可能性があります。
〇健康寿命を延ばすためにできること
男性更年期やフレイルは突然起こるものではなく、長年の生活習慣の積み重ねによって進行します。
健康寿命を延ばすためには、
- 適切な睡眠
- 定期的な運動
- バランスの良い食事
- ビタミンD不足の改善
- 筋力維持
- ストレス管理
- 必要に応じたホルモン治療や漢方治療
を総合的に行うことが重要です。
☆まとめ
男性更年期は単なる加齢現象ではなく、筋力低下やフレイル、心血管疾患、EDなどさまざまな健康問題と関連しています。
最近ではテストステロン補充療法だけでなく、抗酸化成分、NMN、レスベラトロール、漢方治療など多角的なアプローチが研究されています。
まずは「最近疲れやすい」「以前より元気が出ない」といった小さな変化を見逃さず、必要に応じて医療機関へ相談することが健康寿命を延ばす第一歩です。
年齢を重ねても元気に活動できる身体づくりのために、今からできる対策を始めてみましょう。
統括部長 牧野莉央
