「最近抜け毛が増えてきた」「髪のボリュームが減ってきた」「分け目が目立つようになった」このようなお悩みを抱えて来院される方は年々増えています。
薄毛というと男性の悩みというイメージがありますが、近年では女性の薄毛(FAGA)に悩む方も少なくありません。
しかし、薄毛にはさまざまな原因があり、「年齢のせい」と思っていたものが治療できるケースもあります。今回は、AGA・FAGAの仕組みや治療法についてわかりやすく解説します。
◎AGAとは?男性型脱毛症の仕組み
AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの影響によって起こる進行性の脱毛症です。
私たちの髪の毛は、「成長期」「退行期」「休止期」という毛周期(ヘアサイクル)を繰り返しています。通常、成長期は2~6年ほど続き、その間に髪は太く長く成長します。
ところがAGAでは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが5α還元酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換され、このDHTが毛根に作用することで成長期が大幅に短縮されます。
その結果、髪の毛は十分に成長する前に抜け落ちてしまい、細く短い毛が増えていきます。毛の太さも均一ではなくなり、全体のボリュームが徐々に減少していきます。
AGAは進行性の病気であり、放置すると少しずつ薄毛が進行していきます。
◎AGAはどんな人に多い?
AGAは日本人男性のおよそ3人に1人が発症するといわれています。
年代別では、
- 20代:約10人に1人
- 40代:約10人に3人
程度にみられ、決して高齢者だけの病気ではありません。
特に前頭部(生え際)や頭頂部から薄くなることが特徴で、「M字が気になる」「つむじが目立ってきた」という方はAGAの可能性があります。
一方で、年齢とともに毛量が少しずつ減る生理的な変化との区別は難しく、ご自身で判断することは容易ではありません。
AGA遺伝子検査もありますが、陽性的中率・陰性的中率はいずれも約70%程度とされ、確定診断ができる検査ではありません。そのため、診察や頭皮の状態を総合的に評価することが重要です。
AGA治療① フィナステリド
AGA治療の第一選択薬として長年使用されているのがフィナステリド(プロペシア)です。
フィナステリドは5α還元酵素Ⅱ型を阻害することでDHTの産生を約70%抑制します。頭頂部ではⅡ型酵素の割合が多いため、頭頂部の薄毛が気になる方に特に適した治療薬です。
1日1回の内服で継続しやすく、1年間の治療で約58%の方に改善が認められたという報告もあります。
また、挙児希望がある方では、一般的にデュタステリドより選択しやすい薬とされています。
AGA治療② デュタステリド
より高い効果を期待する場合には、デュタステリド(ザガーロ)が選択されます。
デュタステリドは5α還元酵素Ⅰ型・Ⅱ型の両方を阻害するため、DHTを90%以上抑制するとされています。
Ⅰ型酵素は前頭部にも多く存在するため、生え際の後退が気になる方や、前頭部・頭頂部の両方を改善したい方に適しています。
一方で、一部の方では精液所見に影響が報告されているため、妊娠を希望される方では慎重な選択が必要です。
フィナステリド・デュタステリドともに、副作用としてEDや性欲低下が約1%程度報告されています。
AGA治療③ ミノキシジル
フィナステリドやデュタステリドが「抜け毛を減らす治療」であるのに対し、ミノキシジルは「発毛を促す治療」です。
毛根周囲の血流を改善し、毛母細胞を活性化することで新しい毛の成長を促します。
内服薬(ミノキシジルタブレット)と外用薬があり、外用では5%製剤が標準的です。
ただし、内服薬では血圧低下や動悸、むくみ、多毛などの副作用が起こることがあるため、医師の管理のもとで使用することが大切です。
AGA治療では、「フィナステリド・デュタステリドで抜け毛を抑え、ミノキシジルで発毛を促す」という組み合わせが基本となります。
◎効果はいつ頃から?
AGA治療はすぐに効果が出る治療ではありません。
一般的には、
- 約3~4か月:抜け毛の減少を実感
- 約6か月:毛の太さや密度の改善を実感
する方が多く、十分な効果を判断するためには6か月以上の継続が推奨されています。
◎女性の薄毛「FAGA」とは?
女性にもFAGA(女性型脱毛症)があります。
AGAのように生え際や頭頂部だけが薄くなるのではなく、頭頂部全体がびまん性に薄くなることが特徴です。
原因は男性ほど明確ではなく、加齢やホルモンバランスの変化、遺伝、生活習慣、栄養状態など、さまざまな要因が関係しています。
治療にはビビスカル、パントガール、ビオチンなどのサプリメントに加え、ミノキシジル外用薬(リボゲイン)や、必要に応じてミノキシジル内服薬を使用します。ただし内服薬では全身の毛が濃くなることや、血圧低下などの副作用にも注意が必要です。
また、女性の薄毛では甲状腺機能障害や鉄・亜鉛欠乏症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などが原因となることもあるため、必要に応じて血液検査を行い、他の疾患が隠れていないか確認することも重要です。
※急に円形に脱毛する場合は円形脱毛症の可能性があります。円形脱毛症は自己免疫疾患が関与しているため、AGAやFAGAとは治療法が異なり、ステロイド療法や免疫療法など皮膚科での専門的な治療が必要になります。
◎当院のAGA・FAGA治療
当院では形成外科専門医監修のもと、医学的根拠に基づいたAGA・FAGA治療をご提案しています。
患者さん一人ひとりの症状やライフスタイル、今後の妊娠希望の有無なども考慮し、最適な治療方法をご提案いたします。
また、当院で使用する薬剤は厚生労働省承認薬を中心としており、安全性に十分配慮しています。
近年ではインターネットによる個人輸入薬も多く流通していますが、品質や有効成分、安全性が保証されていない製品もあり、偽造薬や不純物混入が報告されているケースもあります。
医療機関で処方を受けることで、副作用が起こった場合にも適切な対応が可能となり、安心して治療を継続できます。
薄毛は進行性のため、「もう少し様子を見よう」と思っている間に症状が進んでしまうことも少なくありません。
「最近抜け毛が増えた」「分け目が広がってきた」「髪のボリュームが減ってきた」と感じたら、一度お気軽にご相談ください。早期に原因を見極め、適切な治療を開始することが、将来の髪を守る第一歩になります。
統括部長 牧野莉央
