「顔にダニがいる」と聞くと、少し驚く方も多いのではないでしょうか。
実は私たちの顔の毛穴には、Demodex(ニキビダニ)と呼ばれる非常に小さなダニが生息していることがあります。
ニキビダニは、主に毛包や皮脂腺の周囲に生息しており、特に顔の皮脂が多い部位で見つかります。
「ダニ」と聞くと、肌にとって悪いもののように感じるかもしれません。
しかし、ニキビダニは健康な人の皮膚にも存在することがあり、ニキビダニがいること自体が病気というわけではありません。
重要なのは、その数や皮膚の状態、そして免疫反応とのバランスです。
〇ニキビダニはどこにいる?
ニキビダニは、人の毛包や皮脂腺をすみかとしています。
特に、
・鼻
・頬
・額
・まぶた周辺
・あご
など、皮脂腺が比較的多い顔に存在しやすいとされています。
ニキビダニには主にDemodex folliculorum(毛包虫)とDemodex brevis(短毛嚢虫)という2種類が知られています。
Demodex folliculorumは主に毛包内に、Demodex brevisはより深い皮脂腺周辺に生息する傾向があります。
どちらも非常に小さく、肉眼で見ることはできません。
ニキビダニは、毛穴の中にある皮脂や皮膚の細胞などを利用して生活しています。
つまり、皮脂が存在する毛穴は、ニキビダニにとって生活しやすい環境です。
ニキビダニは毛穴の中で生活し、成長して繁殖します。
そして寿命を迎えると死骸が毛穴に残ります。
通常は大きな問題を起こさず、皮膚のほかの微生物と共存しています。
〇ニキビダニが増えるとどうなる?
ニキビダニは健康な皮膚にも存在しますが、過剰に増殖すると皮膚の炎症に関係することがあります。
ニキビダニの数が増えると、毛穴周囲に炎症が起こったり、皮膚のバリア機能に影響を与えたりする可能性があります。
また、ニキビダニの死骸や排泄物などが、皮膚の免疫反応を刺激する可能性も指摘されています。
その結果、
・顔の赤み
・小さなブツブツ
・かゆみ
・ヒリヒリ感
・毛穴周囲の炎症
などにつながることがあります。
〇酒さとの関係
ニキビダニと特に関連が深い皮膚疾患の一つが、酒さ(rosacea)です。
酒さは、顔の赤みやほてり、血管拡張、ニキビのようなブツブツなどを繰り返す慢性的な皮膚疾患です。
酒さの患者さんでは、健康な人と比較してニキビダニの密度が高いことが多く、ニキビダニが酒さの炎症に関与している可能性が研究されています。
酒さには、皮膚の免疫反応、血管反応、皮膚バリア、遺伝的要因など、さまざまな要素が関係しています。
ニキビダニの増加は、その一部として炎症に関係していると考えられています。
☆まとめ
ニキビダニは毛穴や皮脂腺の周囲に生息しています。そのため、皮脂の量や毛穴の状態、皮膚のバリア機能など、毛穴を取り巻く環境そのものが重要になります。
ただし、皮脂を完全になくす必要はありません。皮脂は皮膚を保護する役割も担っています。
大切なのは、過剰な皮脂や毛穴の詰まりを適切にコントロールしながら、皮膚のバリア機能を維持することです。
洗顔のしすぎや強い摩擦によって皮膚バリアが乱れると、赤みや刺激感など別のトラブルにつながる可能性があります。
皮膚には、表皮ブドウ球菌、アクネ菌、マラセチアなど、さまざまな微生物が存在しています。
そしてニキビダニも、その皮膚環境の一部です。
問題なのは、特定の微生物が「いるか・いないか」だけではなく、その数や皮膚とのバランスが崩れていないかということなのです。
美肌を目指すうえでも、すべての微生物を排除するのではなく、皮膚のバリア機能を守りながら、皮膚と微生物がバランスよく共存できる環境を整えることが大切なのです。
統括部長 牧野莉央
